本のページに飴が降る
たとえば、貴方なら、新幹線に乗ったとき、何をしますか?
たびかさなる新幹線での出張に慣れきった私は、座席に腰掛けたら、すぐさま本を開いて読みふけりました。
その時も、そうしました。
仙台への出張でした。
読み始めたのはいいが、なんかシックリこない。あまり面白くないのです。でもムリして読んでいました。
すると、突然、私の読んでいるページに、なんと何粒かの飴が降ってきたのです。
となりの座席の女性が、飴粒を落としたのです。
でも、何故?
私の心持を見透かされたのでしょうか?
なにをムリして読んでいるのよ。飴でも舐めたら。なんてね。
私の読んでいる本の上に、黙って飴を落とした女性もすごいが、それに対して、なんら動じることなく、受け流した私もすごい。
礼を言って、飴を舐めた。
それがきっかけで、話をした。
女性は石巻市に帰ると言う。ダンナさんが、遠洋漁業の船に乗っていて、焼津港に戻ってきたので、会うために石巻から焼津に出かけてきたのだった。
なるほど、そのようなことまで話してくれて、ありがとう、なんていうことは言わなかったが、なんか、漁業関係の人を思わせる、ザックバランな感じの人だった。
ウニは焼いて食べるのが、いちばん美味しい、なんていうことも言っていた。
仙台駅で私も彼女も降りた。
二人とも大きな荷物を持っていた。
新幹線ホームで、別れの挨拶を交わした。
「石巻まで、気をつけて帰ってください。」
「あなたも。」
そして、私は足早に、ホームの階段を降りた。
| 固定リンク


コメント